突然死の父(母方の祖父)を想って、母がよく言っていた。
夢でもいいから会いたいもんだ
祖父が亡くなったのは、私が小学校5年生の時だった。
それから、母が亡くなるまでの28年間ずっと祖父と夢でさえ会えなかったらしい。
祖父は寡黙な人で、遊びに行っても母も私たちも祖母とばかり話していた。
けれど、もし母が祖父と夢で会えたら、何を話したのだろう。
何を伝えたかったのだろう。
私も、母を突然失って、あの日の母の気持ちが分かるようになった。
あの日の後の母の気持ちが分かるようになった。
でも、母はもういない。
会えないなら、せめて夢でも会いたい。
夢でも話したい。
でも、本音は夢なんかではなく、もっともっと生きてほしかった。
夢なんかではなく、同じ場所で一緒にご飯を食べて、話をしたかった。
一緒に笑って、時には言い合ったり、育児の相談もしたかったし、母の仕事の愚痴を聞いたり、買い物をしたりしたかった。
バス旅行にも、また行こうねって約束したのに。
会えないなら、せめて夢でも会いたい。
肉体がなくなっても魂があるなら、せめて電話だけでも。
声が聞きたい。
母も、きっとあの世でそう思っている。
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